AI時代を生きる中高生に求められる「お金の選択」と「人生をデザインする力」イベント開催レポート
2026年 9月30日(水) 21時〜(オンライン)
中高生向けビジネススクール『ジブナル』の
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AIの社会実装が急速に進むなかで、中高生に必要な力は何か。6月22日に開催されたオンライン講演会「AI時代に求められる『お金の選択』と『人生をデザインする力』」では、その問いを軸に、マネー教育とライフデザイン教育の接点が語られました。
モデレーターを務めたのはジブナル代表の濱暢宏。ゲストには『お金の選択』の著者であり、ジブナルでも授業を担当する森さんを迎えました。後半では実際にジブナルを受講した中高生の保護者も参加し、家庭で起きた変化や、子どもたちの進路観の変化について具体的なエピソードが共有されました。本記事では、当日の流れに沿って、印象的な発言とともに内容を振り返ります。
◆ 登壇者

森 暁郎(もり あきお)
三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。国内及びニューヨーク支店にて、ローン、買収ファイナンス等の営業及び審査業務に従事。MBA取得後は、General Electricに入社。営業・マーケティング分野のグローバルなリーダーシッププログラムに参画しながら、大型の買収案件等を担当。その後、事業会社のベネッセに転じ、新規事業開発室長として、教育・介護分野での買収や戦略出資を進めるとともに、全社横断の新規事業開発制度を構築、具体案件のインキュベーションを担当。現在はグロービス経営大学院にて、英語のビジネススクール及び企業研修の事業開発・推進を担当した後、アカウンティング・ファイナンス領域の責任者として、コンテンツ開発等に従事。

濱 暢宏(はま のぶひろ)
東北大学卒業後、シャープでエンジニア・事業開発を経験。日本交通では無線配車で初の東京No.1を主導。子会社社長として組織変革を牽引。JapanTaxi(現GO)では取締役COOとしてアプリ・決済など成長基盤を確立。その後、ワイヤレスゲート代表取締役社長CEOとして事業再生を主導。2024年に退任後、独立。現在は企業の経営支援や講演・執筆の傍ら、中高生に「稼ぐ力」と「自分らしく生きる力」を育むビジネススクール「ジブナル」を運営。グロービス経営大学院では年間300名以上にクリティカルシンキングやプレゼンテーションやリーダーシップなどを教える。
「テストの点数以上に求められるものが変わってきている」
冒頭で濱は、今回のイベントの趣旨を次のように説明しました。

濱:「AIの社会実装がもう驚くほどに進んでいて、それに伴って子どもたちを取り巻く環境も大きく変わりつつあるのかなと思っています」
これまでのように「いい学校、いい会社に入って、定年まで勤める」というモデルが揺らぐなかで、今後より重要になるのは、自分の人生を自分で設計する力だという問題意識です。
そのうえで濱は、ライフデザインと切り離せないものとして「お金をコントロールする力」を挙げました。
濱:「やはりライフデザインという中で切り離せないのは、お金をコントロールする力というか、マネーのデザインですね」
中高生がこうしたテーマを学ぶ機会はまだ多くないからこそ、早い段階から触れる意義がある。そうした問題提起から、セッションは始まりました。
「ライフデザインとマネーデザインは一心同体」
森さんは、自身がニューヨークで過ごした経験を起点に、ライフデザインについて語りました。

森さん:「僕は本当にライフデザイン、つまり一度しかない人生をどう生きるかっていうことが、人にとって一番大事なクエスチョンだなと思って生きてきました」
背景画像に映していたニューヨークの街を引き合いに出しながら、森さんは、現地で感じた人々の“主語”の違いを印象的に表現します。
森さん:「会う人会う人、あの街にいる人ってすごい自我があるんですよね。『俺は』『私は』こう生きてる。『I want to』『I love to』『I’m doing』。みんな“ I ”で語っていたんです」
一方で、日本に戻ってきたときには、その迫力をあまり感じなかったと言います。
森さん:「就活とか転職とか婚活とか、どちらかというと誰々に言われたからとか、何歳になったからとか、あまり主語が“ I ”で語られない」
この比較からたどり着いたのが、自分がどう生きたいのかを真剣に考える必要性でした。そして、その問いは、お金の問題と切り離せないと続けます。
森さん:「自分がどう生きたいのか。であればどう稼ぎたいのか。そしてお金ってものをどう使うのか。やりたいことをやりたいならどれぐらいお金がいるのか。もうこれ、完全に一体だなと思っています」
濱もここに強く共感を示し、昨年初めて話したときにも「I want to」の話で意気投合したことを振り返っていました。
「お金を起点にすると、人生は言語化しやすくなる」
森さんはさらに、マネーデザインがライフデザインの入口になりうる理由として、お金は人生を具体化しやすいテーマだからだと語ります。

森さん:「『君、将来何になりたいの?』って言われると答えるのが難しいことがある。でも『どれぐらい稼ぎたいの?』『今500万円もらったら何に使いたい?』と聞かれると、人って結構具体的に考えられるんです」
抽象的な夢や志よりも、お金は金額や用途としてイメージしやすい。そのため、対話が進みやすく、自分自身の価値観にも気づきやすいという指摘です。
森さん:「この言語化とか会話が進みやすくなって、だんだん自分が、なんでそう言ったのかってことが自分の中でクリアになる。そういう効果もあると思うんですね」
濱はこれを受けて、定量化されたものを起点にすることで思考が進みやすいと整理しました。金額を入口にすることで、「なぜその金額なのか」「どんな暮らしを望んでいるのか」といった問いが立ち上がってくる、というわけです。
「中高生は、お金が初めて“自分ごと”になり始める時期」
続いて話題は、中高生の時期にお金を学ぶ意味へと移ります。
森さん:「中高生って、初めてちょっとお金ってものが自分ごとになり始めるときじゃないですか」
小学生の頃は、お小遣いやお年玉など、与えられるお金が中心です。ですが中学生、高校生になると、友達と出かけたり、自分で何に使うかを考えたりする機会が増えます。森さんは、この時期こそ価値観のベースが形づくられるタイミングだと語りました。
その文脈で紹介されたのが、自身の中学時代の原体験です。森さんは小学校から大学までの一貫校に中学から進学し、小学校から内部進学してきた同級生たちと共に過ごす中で、びっくりする経験があったといいます。
森さん:「公園でキャッチボールしようぜって言って行ったら、その友人の家の庭だったんです。ずっとお母さんだと思って話してた人が、お手伝いさんだったこともありました」
そうした経験から、森さんは子ども心に「お金による環境の違い」を痛感したと言います。同時に、高校、大学と進学して友人の幅が広がっていく中で、自分が恵まれている面にも多々気づいたそうです。
森さん:「大事なのは、それを漫然と生きないで、だから自分はこう生きたいまでつなげることだと思うんですよ」
お金に関する原体験は人それぞれ違う。だからこそ、その経験を放置せず、自分はお金とどう向き合いたいのか、自分はどう生きたいのかにつなげて考えることが大切だというメッセージが印象に残りました。
「受動から能動へ」——サマープログラムで起こしたい変化

中高生に起きてほしい変化として、森さんが挙げたキーワードは明快でした。
森さん:「受動から能動へ、というところです」
小さい頃のお金は「もらうもの」ですが、中高生にはそこから一歩進んで、自分から考えること、自分から何かをつくることを経験してほしいと語ります。
森さん:「バイトして稼ごうってことではなくて、自分から考えるとか、自分で新しいものを作ってみるとか。気づいたらそこに人に感謝された、とか。そういう受動だけじゃない、能動的に生きるきっかけになればいい」
これは単なる金銭教育ではなく、価値を生み出し、感謝され、その延長線上にお金があると理解するための学びでもあります。
また、親に求めるスタンスについては、「お金の話を避けないこと」が挙げられました。
森さん:「日本人ってお金の話を避けたがるじゃないですか。大いに対話してほしいなと思います。たとえば、外食をしたあとに「今日いくらだったと思う?」と聞いてみる。ニュースや日常の出来事をきっかけに、お金について自然に話す。そうしたやりとりそのものが学びになるといいます。
森さん:「それって下品なことじゃないんで」
この一言も、多くの保護者にとって背中を押すものだったのではないでしょうか。
「起業してみたい」——保護者が語った、わが子の変化
後半では、実際にジブナルを受講した中高生の保護者の方2名(渡海さん・松本さん)が登壇し、家庭で起きた変化を語りました。

「本人が楽しいと思えることを増やしてあげたかった」
まず渡海さんは、中高一貫校に通う息子のために、受験のない中3の時期に何か挑戦の機会を持たせたいと思ったことが参加のきっかけだったと話しました。
渡海さん:「本人が楽しいと思えることを増やしてあげたいなと思ったときに、お友達からこういうのがあるよって教えていただいて」

一方、もう1人の参加者の保護者である松本さんは、息子さんが小学5年生になるまでイギリスで過ごしたあと、日本の学校生活に戻ってきた際のギャップが背景にあったといいます。
松本さん:「夏休みは遊んでくることが宿題だと言われていたのが、日本に帰ってきたら宿題がこんなにいっぱいあるの…と驚いてしまって」
そのなかで、本人が本当に興味を持って学べる場を探していたと語りました。
松本さん:「本人が本当に興味を持って学べる場を探したい、そんな思いを悶々と巡らせていた最中、友人の母にジブナルのプログラムを紹介してもらいました。単なる母の直感なのですが…、このプログラムには探し求めていたすべてが詰まっているのではと思いました。 それで息子に勧めてみることにしたんです」
「スポーツ関係の仕事かな」から「起業してみたい」へ
そのあと、松本さんが紹介してくれたのは、学校での二者面談で起きた変化です。
松本さん:「それまでの彼は、スポーツ関係の仕事がしたいかなあと、父と私の影響もあってぼやーんと言っていたんですけれども、それが具体的に、ちょっと起業してみたい、起業することに興味があるっていうことを先生と話してきたと教えてくれました」
その背景には、ジブナルで出会った講師陣や、授業の中で触れた実務家の話があったようです。
松本さん:「第一線で活躍していらっしゃる大人の方々、両親ではない大人の方々、実務家の方々のお話を聞けたことが、本人にはとてもいい刺激になったようでした」
森さんもこれに対し、驚きつつも喜びをにじませました。
森さん:「起業しなさいなんてまったく言ってないのに、そこまで発展して。なんかきっかけになれたならもちろんうれしいし、起業したいみたいなことを言うと具体的に考えるようになると思うんですよね」
「ノーリスク、ハイリターンはない」——家庭で増えた会話
渡海さんは、家庭での会話の変化についても具体的に共有しました。
渡海さん:「中学校に入ってからは、学校の授業で何があったとか話してくれることってほぼなかったんですけれど、やっぱりこのジブナルの授業っておもしろいのか、食卓でこういうことを学んだとか、『ノーリスク、ハイリターンはないよ』みたいな話とか、教えてくれるようになったりとか」
さらに、お金の授業を通じて、物事の見方にも変化があったといいます。
渡海さん:「文化祭とか考えるときも、単価×数量がどうで、みたいなことを教えてもらえるから、ちょっと観察力とか観察の仕方が変わった気がしました」
実際、この日は息子さん本人も登壇し、印象に残った学びを言葉にしてくれました。
渡海さん息子(中3):「売上について考えたり、お客さんが誰かって考えたり、提供価値が何かとかを考えたのが印象的でした」
この発言を受けて、濱も、森さんが先ほど話していた「価値を提供する」「誰に届けるかを考える」という視点が、きちんと中高生の中に残っていることに触れていました。
「固定費とか変動費とか」——学び直しが、興味を深めた
松本さんの息子もまた、当日画面越しに登場し、森さんの授業について語りました。
松本さん息子(中3):「小学生の頃にも学校のプロジェクトで、固定費とか変動費とか、あとは利益の出し方とかを学んだことがありました。でも今回の講座でもっと興味が深くなった感じです」
さらに将来について尋ねられると、こんな言葉も出てきました。
松本さん息子(中3) :「(起業して)なにか自分でお金を作りたいなあって思うようになりました。普通に働くよりは、自分で立ち上げて、それを世間に広げていくっていう感じのほうが自分に合ってるかなと」
濱はこれに強く反応し、画面越しに何度も応援の言葉を送っていました。
濱:「すごいね。めっちゃ応援するよ。なんでも相談して!」
「教えるのがめちゃくちゃうまい」——保護者が感じた価値
最後に、参加を迷っている保護者に向けたメッセージも語られました。
渡海さんは、息子が「先生が教えるのめちゃくちゃうまい」と話していたことを紹介しながら、学校外で魅力的な大人に出会う価値を強調しました。
渡海さん:「同じ教科でも同じ勉強でも、教える人が変わるとこんなに魅力的になるんだっていうのを体感した感じがしていたので」
そのうえで、親が成果を求めすぎず、まずは世界を見せることが大事だと語ります。
渡海さん:「せっかく行ったから子どもにこういうことを学んでこうしてほしい、ではなくて、そこに行くことで本人が何を学んでくるかだけでいいなあと私は思っているので」
松本さんもまた、子どもが「キラキラ、ほんとに楽しいと言って帰ってきた」ことが印象的だったと振り返りました。
松本さん:「そういう機会は、この夏休み、時間があるときに、またこの多感な時期に、いろんなことを吸収できるこの時期に、経験させてあげられることがとても重要だなあと感じています」
「Day7で自分らしい私に出会う」サマープログラムの全体像
終盤では、濱からこの夏のサマープログラムの構成も紹介されました。

- プログラムはDay0からDay7までの全8日間で構成され、以下のように気づきが積み上がる設計になっています。
- Day0:仮WANT宣言
- Day1:論理の骨組み
- Day2:顧客視点
- Day3:数字の構造
- Day4:プロトタイプ
- Day5:仲間の力とメンタル
- Day6:越境の視点
- Day7:未来のキャリア宣言
濱は、最終日に「自分なりのキャリアの解像度が上がる」ことを目指していると説明しました。
濱:「この夏が終わる頃には、中学生高校生はまた目の輝きが変わった青年、少女になっているんじゃないかなと思っています」
「やらないより、やったほうがいい」
イベントの最後、濱から「これから学ぼうとしている中高生に向けて一言を」と振られた森さんは、シンプルにこう締めくくりました。
森さん:「なんでもね、やらないよりやったほうがいいからね。どんどんいろんなことやってほしいし」
そして続けて、ジブナルをその選択肢のひとつとして挙げます。
森さん:「その選択肢の1つに、このジブナルを入れてもらえたら、僕とも会えるのでね。会えたらうれしいなと思います」
今回の講演会を通じて一貫していたのは、お金の学びは単なる知識習得ではなく、自分の人生を主体的に考える入口になるという視点でした。
「どれくらい稼ぎたいか」「何に使いたいか」「誰にどんな価値を届けたいか」。そうした問いを通して、中高生が少しずつ“受動”から“能動”へと移っていく。その変化の兆しが、保護者や本人の言葉から具体的に伝わってくる1時間でした。
今後、こうした学びの場がどのように広がっていくのか。引き続き注目したいところです。
2026年 9月30日(水) 21時〜(オンライン)
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