【ジブナル・サマープログラム Day1】問いと根拠、そして相手の立場から「伝える力」を磨いた1日
ジブナルが開催する「ジブナルサマープログラム」。今年初開催となる本プログラムは、中高生向けの少人数限定・全8日間の短期集中型ビジネス教育プログラムです。本記事は、サマープログラムの様子をお伝えします。今回は、Day1のレポートです。
<ジブナルサマープログラム2026>
Day 0(7/31):未来をつくる先輩との対話 (ゲスト:畑田 氏、田中 氏、林 氏、丸山 氏)
Day 1(8/1):考えるヒケツと問いのチカラ(講師:濱 暢宏)
Day 2(8/2):売れるヒケツと人気のカラクリ(講師:村上 佳代)
Day 3(8/3):稼ぐ仕組みとお金の動かし方(講師:森 暁郎)
Day 4(8/4):ゼロをイチにするプロトタイプのチカラ(講師:加藤 彰宏)
Day 5(8/6):共感と協調のリーダーシップ(講師:若杉 忠弘)
Day 6(8/7):未来をつくる越境力の磨き方(講師:唐川 靖弘)
Day 7(8/9):未来をつくるキャリア開発(講師:中村 直太)
2日目のDay1では、濱が講師を務め、「考えるヒケツと問いのチカラ」をテーマに、1コマ目から3コマ目まで連続してワークを進めました。

この日の中心にあったのは、自分の考えを整理し、根拠を持って伝え、さらに相手の立場を踏まえて応援してもらえる形に磨いていくことです。午前は「主張と根拠」、午後は「問いの力」、そして最後は「相手の心をつかむ伝え方」へと展開し、生徒はバスケ部、自動販売機、スマートフォン、そして自分自身のWANTを題材にしながら、考え方を何度も実践しました。

「意見やお願いを通せる自分になろう」から始まった1コマ目
濱:「そもそも「ビジネス」というのは、自分のやりたいこと・できることを、お客様の役に立つことに変換し、提供して対価を得るということです。そして、ビジネスは1人ではできないことを覚えておいてください。社員や関係者に協力してもらうことが必要だし、予算も必要。そのすべてに「相手の納得」を得ることが必要になってきます。今日は、このことをしっかり理解していきましょう。」


濱は、企画を通すこと、予算をもらうこと、社員に動いてもらうことのすべてに「相手の納得」が必要だと説明します。
濱:「これって、大人だけじゃないですよね。中学生も高校生も、先生や親にお願いするよね。ゲームを1時間やらせてほしいとか、アプリを入れたいとか。だから、この力は必ず役に立つんです」
ここで会場には、「自分の意見やお願いを聞き入れてもらえなかったことは?」という問いが投げかけられました。

生徒からは、学校の先生、母親、部活の仲間とのやりとりなど、身近な「通らなかったお願い」についての経験がたくさんあがりました。この力は“今すぐ使える力”であり、これから世界が広がっていく中で必ず役に立つ力だと位置づけました。
濱:「意見やお願いを通せる自分になろう、ということです」
「主張には根拠が必要」説得力の出発点を学ぶ
1コマ目の中心となったのは、主張と根拠の関係です。濱はまず、「それって本当なの?」という問いを通して、思いつきや主観のままでは相手は納得しないことを丁寧に示していきました。
象徴的だったのが、「石段を下から食べると足が速くなる」といった例をもとにしたやりとりです。生徒からは、比較実験をする、条件をそろえてデータを取る、といった発想が出されました。そこで濱は、そのような客観的な支えを「根拠」と呼びます。
濱:「主張に説得力を持たせるためには、主張を支える根拠を示すことが大事です」

濱:「根拠は強くすることができるんです」
生徒からも、1コマ目を振り返る中で、こうした学びが言葉になっていました。
生徒:「元々自分のわがままだったものを、根拠とかを付けて、主張っていうものにしようとしたことがありました」
濱:「そうだね。わがままとか主観だよね。自分の思い込みとか、思いつきだったものを、根拠で主張にしたとかね。主観から主張に変えていく」
この「主観から主張へ」という整理をたちは自分の経験と結びつけて考え始めているようです。


「バスケ部を続けるべきだ」を論理の三角形をつくる演習
考え方をインプットした後、演習へ移りました。テーマは、「あなたはバスケ部に所属している。何度か辞めたい気持ちが湧いたが、思い直し『バスケ部を続けるべき』というスタンスに立ち自分を説得したい」というものです。

最初は個人で続ける理由を挙げ、その後グループで共有し、似た理由同士をまとめて、大きな三角形に整理していきました。ここでは、単に理由をたくさん出すのではなく、「これとこれは近いかもしれない」と考えながらグルーピングすることが重視されました。

生徒の発表では、交友関係、運動習慣、将来性、健康、人間関係、日常生活、やめたときのデメリットなど、多様な観点が挙がりました。
生徒:「私はバスケ部を続けるべきだと思います。理由は3つあって、1つ目は自分の能力になること、2つ目は社交性につながること、3つ目はバスケの専門性が高まることです」
生徒:「私たちのチームでは、続けたときのメリットじゃなくて、やめてしまったときのデメリットの根拠について書きました」

発表後、濱はそれぞれのチームのよかった点を丁寧にフィードバックしました。たとえば、あるチームについては「大きいグルーピングができた」ことを評価し、別のチームについてはメリットだけでなくデメリットにも言及したことが説得力につながっていたと解説しました。
濱:「こうやってグルーピングをすれば、説得力を強める論理ができるんだよね。いっぱい挙げていき、そしてそれをグループ化して、ちゃんと今みたいに説明をすれば、説得力を高める説明ができる」
このフィードバックによって、生徒たちは「理由を並べる」から一歩進んで、「どう整理すればより伝わるか」を体感していきました。
「バスに乗っている子供の数は?」「ピザはあった?」問いは見える世界を変える
次にテーマは「問いのチカラをつかむ」へと移ります。1コマ目が「根拠」で主張を強くする時間だったのに対し、2コマ目では何を考えるべきかを先に定める力に焦点が当てられました。導入で扱われたのは、図形やパズルを使ったワークです。生徒は画面上の図形の数を数えますが、後から「では、バスに乗っている子どもの人数は?」「ピザはあった?」と聞かれると、答えられない人が多く出ました。

濱はこの体験をこう言葉にします。
濱:「問いは、立てられると見える世界が変わるということ。問われれば見えたし気づけたのに、質問されないと気づけないし、見えないんだよ」
この話は、生徒同士の共通点探しのミニワークにもつながっていきました。3人、4人のチームで問いを出し合い、全員に共通することを2つ探す。ここでも濱は、「問いを立てるっていうことは、相手のことを知るってことに繋がる」と整理します。

「答えには必ず裏側に問いがある」
その後、濱が繰り返したのは、「答えには必ず裏側に問いがある」という考え方でした。
たとえば、
- 「お昼には焼きそばを食べたい」
- 「夏休みは沖縄に行きたい」
- 「帰りに本を買うべきだ」
という答えの裏には、
- 「お昼には何を食べたいか」
- 「夏休みはどこに行ったらいいか」
- 「帰りに何を買うべきか」
といった問いが隠れています。
濱はここで、問いと答えの違いも整理しました。
濱:「答えだけ言う人は、思いついた、という感じになっちゃうんだよね。問いだけの人は、考えるんだけど、あなたはどうしたいのってなる。問いと答えのセットで考えることが大事なんです」

さらに濱は、考える出発点となる大きな問いをイシュー、そのイシューに答えるための小さな問いを枠組みと呼びました。そして、大元の答えをメインメッセージ、枠組みごとの答えをキーメッセージとして整理します。
濱:「問いを立てる力と答えを作る力。この2つが必要なんです」
ここで、1コマ目の「答えを作る力」と、2コマ目の「問いを立てる力」が、同じピラミッド・ストラクチャーの中でつながっていることが見えてきます。
「期末試験でいい点数を取るための工夫とは?」枠組みを考える練習
まず身近なテーマとして「期末試験でいい点数を取るための工夫とは?」が取り上げられました。

生徒は、
- 「何を優先して勉強すればいい?」
- 「ノートのどこを見返せばいい?」
- 「どの教科で何が出そう?」
といった問いを挙げていきます。
そこから濱は、似た問いをまとめ、何をする・どこでする・いつする・誰とする・どのようにするといった視点、つまりフレームワークへと整理していきました。
濱:「こうやって勉強すると、何を考えるべきかが明確になる」
また、問いを立てるチームと、立てずに何となく勉強を始めるチームを比べたらどうなるか、という問いも投げかけられました。生徒からは、問いを立てることでPDCAを回しやすくなり、次に活かせる、効率も上がる、といった声が出ます。
生徒:「勉強する前に問いを自分で立てて、自分自身でフィードバックをして、何が良かったかを反省できるから、次回に向けて改善することができると思う」
濱:「だから、改善環境を作っていけるってところで、結果も出せるってことだね」
この場面でも、「行動する前に問いを立てる」ことが、単なる遠回りではなく、むしろ良い結果に近づくための近道であることが、生徒の言葉を通じて確認されていました。
「校内にドリンクの自動販売機を置くべきか?」ピラミッド・ストラクチャーで考える
2コマ目後半では、より本格的な演習として、「校内にドリンクの自動販売機を置くべきか?」というテーマが設定されました。想定は「生徒会が校長先生を説得する」というものです。

補足情報シートには、設置可能な場所が20か所以上あること、売店には長蛇の列ができていること、近隣高校に導入実績があること、設置費はゼロで運営費は電気代のみであること、約8割の生徒が設置を希望していることなど、複数の情報が並びました。

生徒はまず、「売店があるのになぜ必要?」「どれぐらいお金がかかるの?」「管理が面倒じゃないの?」「置く場所あるの?」など、校長先生が気にしそうな問いをたくさん出します。その後、それらをグループ化し、論点を3つほどに絞っていきました。
濱がヒントとして示したのは、
- 本当に必要だろうか
- 実現できるだろうか
- 懸念点は何だろうか
という切り口です。
実際の発表では、あるチームが、
- 現状に課題がある
- 導入には課題がない
- 維持にも問題が少ない
という形で整理していました。
また別のチームは、
- どんなメリットがあるか
- 設置したら何をしなければならないか
- もしなかったらどうなるか
という構成を取っていました。

濱は、発表内容に対して、その場でさらに伝え方の工夫を返します。
濱:「最初に3つありますって言ってあげると、人の頭の中で、このあと何が来るか分かる。だから理解がしやすいんです。言うべきことは枠組みとして、先に広場を作ってあげる。そこに根拠を入れていくと、分かりやすくなる」
ここでは、1コマ目の「根拠」、2コマ目の「問い」、そして全体を組み立てる「ピラミッド・ストラクチャー」がひとつにつながっていく感覚が、会場にも共有されていました。

「WANTの解像度を磨こう」自分の言葉を問いで深める
2コマ目の終盤では、再び生徒自身のWANTに立ち戻ります。前日のDay0、そして1コマ目で言語化した「仮」のWANTを、今度は問いによって磨き上げる時間です。

濱は、例として、「私は、みんなが絶叫して夢中になるオリジナルゲームを自作して公開するべきだ!」という文を取り上げ、どこがまだ抽象的かを問いに変えていきます。
濱:「みんなって誰? 。絶叫して夢中ってどんな状態? オリジナルゲームって何? 公開するってどうやってやるの?などどんどん疑問が出てきますね」

生徒同士がペアになり、お互いのWANTを見ながら、具体性が足りないところに問いを立てていきました。濱は、このプロセスについてこう話します。
濱:「問いを立ててみると、自分のやりたいことが磨かれていくこともあるし、いや、ちょっと違うな、これ、となることもある。変わっても全然構わないんだよ」
ここで印象的だったのは、「最初に決めたものを守り抜くこと」よりも、「問い続けることで、自分自身が納得できる形に近づくこと」が重視されていた点です。Day1の位置づけスライドにあった、**
「Day0の『仮』WANTに問いを立てて、自分のWANTに、自分自身が納得できるかたちを目指していきます」**という文言が、この場面で実感を伴って立ち上がっていました。
「犬を飼いたい」から考える、相手視点の重要性
3コマ目では、テーマが「相手のココロをつかむ」へと移ります。ここで濱がまず行ったのは、あえて相手の気持ちを逆なでするような例を出すことでした。
題材は「犬を飼いたい」。聞き手は兄や姉の立場で、犬を飼いたいわけでもなく、お金がかかること、世話を押しつけられること、命を預かる責任などを懸念している、という設定です。

そこで濱は、弟役としてこう話してみせます。
濱:「僕はね、今ね、犬をお家にお迎えするべきだと思ってんだよ。理由は、小さい頃からの僕の夢で、それはずっと変わらないんだよ。犬の存在はね、僕をね、癒してくれるんだよ。幸せにしてくれるんだよ。今飼わないとね、僕は後悔すると思うんだよ。なんかお金出してほしいんだよ」
当然、会場からは否定的な反応が返ってきます。
生徒:「自分の意見だけ主張して、お金出しては自分勝手だと思います」
濱:「要するに、僕が欲しいんだよ。それにお金を出してって言うのは、ちょっと僕が僕がって、自分の言い分だけ、ということですよね」
このやりとりを通して浮かび上がったのが、自分の言い分だけでは相手は動かないという当たり前で、しかし実際には難しい事実でした。
「See・Sense・Shake」相手の立場で考えるための3つの視点
3コマ目で濱が提示したキーワードが、See・Sense・Shakeです。相手の立場で考えるための3つの視点として、次のように説明されました。
濱:「親が見えているものは何か、見えていないものは何か。親が関心があるものは何か、懸念してることは何か。親が怒ること、喜ぶことは何か。これをちゃんと覚えてほしいのは、See、Sense、Shake」

ここから、演習は「スマートフォンを買ってほしい」という、さらに身近なテーマへ移ります。最初に示されたのは、子ども側の論理です。
「友達が持っている」
「好きなときに連絡ができる」
「今なら安く買える」
しかし濱は、これでは親を説得できないと断言します。


濱:「親のことを考えてない、ということだね」

そこで問われるのが、親はどんな問いを持っているのか、ということです。
生徒からは、
「時間管理をきちんとできるのか」
「ルールを作るべきなのか」
「危険な目に遭わないか」
「本当に必要なのか」
「費用がどのくらいかかるのか」
「依存しないか」
といった声が次々に上がりました。
濱は、これらを整理しながら、親の気にしていることへ答えや対策を考える必要があると示します。

また、See・Sense・Shakeの具体例として、オリジナルWebゲームを作りたいというWANTに対し、
See:親は努力やゲーム作りの価値を知っているか
Sense:成績、健康、ネットトラブルを気にしているのではないか
Shake:自分で決めること、成長、責任感にどうつながるか
という整理も示されました。

ここで濱が繰り返したのは、相手の問いに答える形で伝えることの大切さです。
濱:「買ってもらうにはどうしよう、ってみんなが思ってるよりは、相手は買ってあげるべきかって思ってるわけです」
この一言によって、3コマ目の本質が非常にわかりやすく整理されました。自分が抱いているイシューと、相手が抱いているイシューは違う。そのズレに気づき、相手のイシューに乗り換えて話すことが、「相手のココロをつかむ」出発点なのです。
「成功確率」を上げるのは、内容だけではない
3コマ目の終盤では、伝え方の「成功確率」を上げる視点も共有されました。濱は、何を言うかだけでなく、いつ伝えるか、どこで伝えるか、誰に伝えるか、どのように伝えるかも大切だと話します。

濱:「忙しい朝に言っても聞いてくれないんだよ。言う日を変えちゃう、とか、どこで言うか、誰と1対1で言うか、LINEで言うかとかね。そういうこともちゃんと考えるべき」
また、発表や説得の場面では、言葉そのものだけでなく、目線や声、間の取り方といった非言語情報も大きな影響を持つと語りました。
濱:「相手にどういう情報が印象を与えるかって点で、非言語情報があるんです。目線とか、声とか、間とか。だから、相手のほうを見るってことです」
2コマ目の自動販売機プレゼンの講評でも、濱は同じ点に触れていました。内容を整理するだけでなく、どう見せるか、どう伝わるかまで含めて考える。その視点が、3コマ目ではより明確に言語化された形です。
「親は1回じゃ見てない」最後に託された実践
3コマ目の最後、濱は生徒に向けて、今日書いた内容を実際に家で話してみてほしいと呼びかけました。
濱:「せっかくだからね、これをお父さんお母さんに聞いてもらう。お父さんお母さんもきっと聞いてくれるよ」
そして、実践に向けたリアルな助言も添えます。
濱:「何度も何度も、親にやりたいことを伝えているうちに、本当に自分でやりたくなる。最初は、親も軽い気持ちで言っているのかなと思ってるんですよ。それがだんだん、自分の言葉に言え換え始めて、これだけピアノがやりたい、これだけこれがしたい、って根拠も添えて伝えられると自分で言った責任も出てくる。そして、向き合って話を聞いてくれるようになると思います」
この話は、Day1が単なる「うまく言う技術」を学ぶ場ではなく、自分の思いを自分の言葉で引き受けるための時間でもあったことを物語っていました。
まとめーー「主観」から「主張」へ、「仮」WANTから納得できるWANTへ
まず1コマ目では、主張には根拠が必要であることを学び、論理の三角形で整理する練習をしました。
2コマ目では、答えの裏には問いがあり、問いを先に立てることで考えるべきことが明確になることを体感しました。
そして3コマ目では、相手の立場に立って、相手の問いに答える形で伝えることを学びました。
濱は最後に、今日の学びをこうまとめています。
濱:「問いを立てて、自分の考えを磨き上げ、そして相手の立場で意思決定をする。このサイクルが大事です」
また、1コマ目を振り返る場面で出た生徒の言葉も、Day1の変化をよく表していました。
生徒:「主張を強くするために、まずは根拠をたてないと。ある程度の情報集めも必要だなって思いました」
Day0で生まれた「仮」のWANTは、このDay1で、根拠を持ち、問いで磨かれ、相手に伝えるための形へと少しずつ育てられていきました。会場にいなかった読者にとっても、この1日が、単なる思考法の講義ではなく、自分の思いを他者とつなぐための実践的なトレーニングだったことは、十分に伝わるはずです。
次の時間では、さらに別の切り口から考えが深められていきますが、Day1で積み重ねられたのは、まさにジブナルが大切にする「自分のWANTに、自分自身が納得できるかたち」をつくるための土台そのものでした。(Day2へ続く)

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