【ジブナル・サマープログラム Day3】おにぎりのアイデアを「続く事業」に変える、お金の授業

2026年 9月30日(水) 21時〜(オンライン)
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ジブナルが開催する「ジブナルサマープログラム」。今年初開催となる本プログラムは、中高生向けの少人数限定・全8日間の短期集中型ビジネス教育プログラムです。本記事は、サマープログラムの様子をお伝えします。今回は、Day3のレポートです。
ジブナルサマープログラム2026
ジブナル・サマープログラムの4日目にあたるDay3では、1コマ目から3コマ目にかけて「稼ぐ仕組みとお金の使い方」をテーマにした授業が行われました。本日の講師は森さん。濱も授業のサポートに入りました。
講師プロフィール
森 暁郎(もり あきお)さん

三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。国内及びニューヨーク支店にて、シンジケートローン、買収ファイナンス等の営業及び審査業務に従事。MBA取得後は、General Electricに入社。営業・マーケティング分野のグローバルなリーダーシッププログラムに参画しながら、大型の買収案件等を担当。その後、事業会社のベネッセに転じ、新規事業開発室長として、教育・介護分野での買収や戦略出資を進めるとともに、全社横断の新規事業開発制度を構築、具体案件のインキュベーションを担当。現在はグロービス経営大学院にて、英語のビジネススクール及び企業研修の事業開発・推進を担当した後、アカウンティング・ファイナンス領域の責任者として、コンテンツ開発等に従事。

前日までに生徒たちは、おにぎりを題材に「誰に、どんな価値を届けるか」というアイデアを膨らませていました。この日はそこから一歩進み、そのアイデアが本当に続けられるのか、儲かるのかを考える日です。売上とは何か、利益とは何か、費用にはどんな種類があるのか。さらに最後には、実際に3か月分の事業計画を組み立て、3月に黒字化するおにぎり屋を描くところまで進みました。

「お金って好き?嫌い?」から始まった、前向きなお金の学び
冒頭、濱から前日までに考えてきたアイデアも、「やりたいことをやり続けるためには、ちゃんと儲からないと続けていけない」という前提のもとで見直していく必要がある、という説明がありました。
森さんは自己紹介を交えながら、お金の話を前向きに学ぶ意味を生徒に伝えました。日本ではお金の話にどこか遠慮がある一方で、森さんは、素敵な人生を生きるうえでも、いい仕事をするうえでも、お金は大事だと率直に語ります。
森さん:「やっぱりお金は大事だし、皆さんが素敵な人生を生きていく上でも、やりたいお仕事をやっていた結果であり、さらにいい仕事をする上でもお金は重要です」
その後のウォームアップでは、「お金って好き?嫌い?」「最近印象に残っている買い物は?」「夏休みは何にお金を使おうと思っている?」という問いが投げかけられました。お土産を買って予算をオーバーした話、グローブやバットを買った話、ゲームを買うために貯金している話などが次々に出てきます。
ここで印象的だったのは、お金を「好き」と言うことをためらわなくてよい、という森さんの姿勢です。
森さん:「僕はお金が好きですが、好きで何が悪いのかと思うんですよね。好きなものがあって、好きなことがあって、それを欲しい、やりたいと思ったらお金を払わなきゃいけない」
会場には笑いも起こりつつ、生徒たちは自然と「お金を使うこと」と「価値を感じること」のつながりを考え始めていました。

「売上=価格×数量」 コンビニとテーマパークでつかむ感覚
1コマ目では、売上の基本を体感的に理解するワークが続きました。まず出されたのは、「コンビニって1つのお店に1日何人のお客さんが来るでしょう?」という問いです。
生徒たちは、店内にいる人数や滞在時間から逆算したり、1時間あたりの来店数を想定したりしながら議論を進めました。さらに「1人のお客さんは平均いくら使うか」も考え、飲み物だけ買う人、昼食を買う会社員、グミだけ買う高校生など、利用者像を思い浮かべながら数字を出していきます。
森さんは、こうした「だいたいこれくらい」という感覚を持つこと自体に意味があると説明しました。
森さん:「やっぱり無駄なお金を払わない。大体いくらだと分かっていれば、ありえないお金って絶対払わない」
続いて、テーマパークの来場者数と1人あたりの支出も考察対象に。生徒たちは入場料、食事、お土産、駐車場代などを積み上げながら、なぜ人はそこまでのお金を払うのかを考えます。
ここで森さんが繰り返したのは、売上とは「お客さんが払ってもいいと決めた価値の対価」だということでした。
森さん:「『あそこに行けば絶対楽しい、いい思いができる』っていう確信があるから、高いお金を払う」
そのうえで、売上は価格と数量の掛け合わせであると整理されます。コンビニもテーマパークも、仕組みは同じです。このあと生徒たちは、ラーメン屋の例を使って「価格を上げるにはどうするか」「数量を増やすにはどうするか」を具体的に考えていきました。

トッピング追加、チャーハンセット、1ドリンク制、24時間営業、座席数の増加など、たくさんの案が出る中で、森さんはこうまとめます。
森さん:「売上を少しでも増やそうと思ったら、基本的には考えることは2つだけです。価格を上げるか、人数を増やすか」
シンプルですが、事業を考えるうえでの軸がここで明確になっていきました。
「売る」と「儲ける」は違う
次に扱われたのは、売上と利益の違いです。森さんはハンバーガーの例を用いながら、「売る」はお客さんからお金を受け取ること、「儲ける」はそこから費用を引いて手元に残るお金だと説明しました。

森さん:「売るっていうのは単純に物を渡してお金をもらうこと。儲けるっていうのは利益を出すことです」
生徒からも、「儲けるは黒字」という言葉が出てきます。単に売れたかどうかではなく、費用を差し引いたあとに黒字になっているかどうかが大事なのだと、会場全体の理解が揃っていきました。
さらにファミレスや自動車メーカーを例に、業種によって費用構造が異なることも学びました。飲食では食材費だけでなく、人件費や家賃、光熱費の割合が大きいこと。自動車メーカーでは、材料費や工場、研究開発、広告費といった費用がかかること。それぞれの事業には、それぞれの「儲け方のかたち」があることが共有されました。
ラーメン屋の値段はいくらにする? コストから逆算する
1コマ目の終盤では、「1日100人のお客さんが来て、1か月30日営業するラーメン屋が、1か月で儲けを出すには1杯いくらにすればいいか」という問題に取り組みました。

ここでは、生徒たちがかなり深く考え込んだことが印象的でした。特にあるチームは、席数、回転率、営業時間、アルバイト人数、時給、駅前物件の賃料、水道光熱費、食材費率まで仮定して計算を組み立てます。その発表を受けて、森さんも驚きを隠せません。
森さん:「いや、すごいね。皆さんのレベル感がだいぶ分かってきましたね。ちょっと2コマ目はギア上げてもいいかな」
最終的に森さんは、この考え方を「コストアプローチ」と整理しました。どれだけ費用がかかるのかをまず考え、そこから必要な売上や価格を逆算する方法です。ここで1コマ目は終了し、生徒たちは「売上」だけでなく、「費用から事業を見る」視点を身につけ始めていました。

「儲かってそう」「儲かってなさそう」から費用を考える
2コマ目は、身近な会社や店を題材にしながら「儲け」の実感を深めるところから始まりました。

生徒からは、「儲かっていそうな会社」の名が次々挙がる一方、近所にできたもののリピーターがつかなかったカフェや、駄菓子のような低価格商品を扱う会社についても話題が広がりました。
とくに、近所のカフェの話では、立地は悪くないのに、店内の音が響き、空気もこもっていて、落ち着けない空間だったという具体的な観察が共有されました。これに対して森さんは、カフェの提供価値そのものが崩れていると指摘します。
森さん:「提供価値が癒やしです。でも、空気もこもって音がガンガン響いてたら癒やされません。こうすると提供価値が実現できないと、リピーターが来なくて売上が減る」
ここでは、売上・価値・リピート・利益が一つながりで理解されていく流れがありました。
家計を分解すると、固定費と変動費が見えてくる
次に森さんは、生徒たちに「家庭では何にお金が使われていると思うか」を問いかけます。税金、食費、家賃、教育費、光熱費、交通費、通信費、貯蓄、医療費、娯楽費などが挙がり、その後、東京23区の平均世帯の支出内訳の例も示されました。

生徒からは、「教育費がもっと高いと思った」、「夏は冷房で光熱費が上がる」、「食料費は最近もっとかかっていそう」といった声が出ます。森さんはそれらを受けながら、費用を考えるときに大事なのは、「必ずかかるもの」と「状況によって増減するもの」を分けて考えることだと説明しました。
ここで登場したのが、固定費と変動費です。
森さん:「固定費というのは、お店を開けているだけ、あるいは暮らしているだけで絶対かかっちゃうお金です。一方で、変動費というのは、お客さんが来るほど増えて、来ないと減るお金」
ラーメン屋、YouTuber、航空会社という異なる例を使ったワークでも、生徒たちは固定費と変動費の違いを考えました。

家賃や機材、整備費用などは固定費寄り。食材、包装、外注編集、機内食などは変動費寄り。とはいえ、森さんはこれを単純な暗記ではなく、「考え方次第」だとも強調します。
森さん:「この固定費、変動費のお話っていうのは、考え方次第なんです」
この言葉どおり、生徒たちは「動画編集は外注せず自分でやる」「YouTuberならスタジオを借りず自宅で撮る」「ラーメン屋なら仕入れ先を見直す」など、費用を減らす工夫まで自然に発想していました。
固定費が多いとどうなる? 「儲けるためのデザイン」を学ぶ
2コマ目後半では、固定費と変動費のバランスによって、同じ売上でも利益が変わることを学びました。例として登場したのは、野球場とサッカー場です。売上100・費用90・利益10という同条件からスタートし、売上が200になったとき、どちらがより儲かるかを考える問題でした。

生徒からは、「固定費と変動費の情報があれば解ける」という声が出ます。その情報が加わると、固定費が大きく変動費が小さい野球場のほうが、売上増加時に利益が大きく伸びることがわかりました。
一方で、別の生徒はすぐに逆のケースも指摘します。
生徒:「逆に、売上が50とかになったら、サッカーのほうが儲かる?」
森さんはこれを「グレート」と評価し、固定費が大きい事業は伸びたときに強い一方で、売上が落ちたときには痛手も大きいことを説明しました。
この流れのなかで、鉄道会社や遊園地は固定費が大きい事業、家庭教師や比較的軽いサービス業は固定費が小さい事業の例として挙げられました。

ここで森さんが伝えたのは、「どちらが正解か」ではなく、どういう勝ち方・負け方をする事業なのかを理解することが大事だという点です。これは、その後のおにぎり屋の事業設計につながる重要な視点になっていました。
「3月は必ず黒字に」 おにぎり屋の計画をつくる
2コマ目の終盤から3コマ目にかけて、いよいよ生徒たちは前日から考えてきたおにぎりのアイデアを、実際の事業計画へと変えていきました。森さんはまず、誰に対して、どうなってほしくて、そのために何をするのかを整理するよう促します。
森さん:「せっかくいいことやる、素敵なことやる、楽しいことやるんであれば、続かないといけない。そのためには儲けなきゃいけないんですね」

さらに3コマ目では、計画を数字に落とし込む条件が示されました。
森さん:「とりあえず3か月分作ってみてください」「必ず3月はちゃんとみんな黒字になるように計画してください」
1か月目、2か月目は広告費や宣伝費を積極的に使ってよい。ただし、3か月目には必ず果実を取る絵を描くこと。もしどう頑張っても黒字にならないなら、「誰に」を広げるのか、「何をする」を工夫するのか、何度でも行ったり来たりして考えるように、という指示が出されました。
濱もここで、STPや4Pを思い出しながら考えるとよい、と補足します。前日までのマーケティングの学びと、この日のお金の学びが、ここで一本につながりました。

発表で見えた、事業としてのおにぎり屋
3コマ目後半は、各グループによる発表の時間です。発表は「誰にどうなってほしくて何をするか」と「3か月の売上・費用・利益計画」の2枚で行われました。

1組目は、中高生と社会人向けに、部活後や仕事終わりの空腹を満たすおにぎり店を提案。夕方5時から夜8時までの営業とし、300円のおにぎりにサラダをつけたセット感を打ち出しました。1か月22日営業、月3300個販売、家賃15万円、人件費24万円、光熱費4万円、通信費1万円、原材料費21万4500円、消耗品費5万円などの試算を出し、3月には約32万円の黒字を見込む計画です。
森さんは、ターゲットと営業時間がきちんと一致している点を高く評価しました。
森さん:「言ってることとやってることがちゃんと一致してる」
2組目は、中高生の運動部向けの「爆弾おにぎり」。鮭、唐揚げ、梅干し、おかか、ツナマヨ、明太子、昆布などの具から3つを選べる、1号分サイズの大きなおにぎりを500円で販売する案でした。オープン時の割引や広告費の使い方まで考えられており、森さんは「最初からそんなに売れるわけがない」という前提で初期施策を置いていた点に注目します。
森さん:「前半のほうがやっぱり広告代使わないと知ってもらわないと始まらないから」
3組目は、キッチンカーで各地に出向くおにぎり店。中高生だけでなく大学生も対象にし、学校内やイベント、住宅街、お祭りなど多様な場所で販売する構想でした。おにぎりとドリンクで450円という価格設定や、SNS投稿を促す映える見せ方も盛り込まれています。発表冒頭で聴衆に問いかける語りかけ型のプレゼンも印象的で、森さんからは発想と発表力の両方にコメントがありました。
4組目は、世界各地の味を小さなおにぎりで体験できる多店舗展開案。中高生に「さまざまな国や地域の味を知ってもらいたい」という狙いのもと、山手線全域に30店舗を展開する大胆な構想で、6個セット660円、1月18万セット、売上1億1800万円という大きな数字を提示しました。ただし、1店舗あたりに落とし直すと、月6000個、1日200個という現実的な水準になることも説明されており、森さんはその点を高く評価します。
森さん:「1店舗あたりに直すとこれぐらいだよって、決して現実離れした話をしてないよっていうのを分かるように話してくれたのは、非常に良かった」
発表後には互いに質問やポジティブコメントを返し合う時間もあり、会場には緊張感と同時に、前向きな一体感が生まれていました。

「お金の使い方」もまた、自分の意思を映す
発表を終えたあと、森さんは授業の締めくくりとして「お金の使い方」について話しました。テーマは、消費・貯蓄・投資の違いです。

森さん:「消費が、どちらかというと今の快楽のために使ってすぐ終わっちゃうお金。貯蓄は将来のためにまず貯めときましょう。投資は将来、果実が得られるために今お金を使いましょう」
コンビニスイーツやエナジードリンクのようにすぐ満足を得る使い方もあれば、英語教材や勉強、健康のための支出のように、時間をかけて価値が返ってくる使い方もある。森さんは、どちらか一方だけを勧めるのではなく、「お金の使い方に自分の意思を込めてほしい」と伝えました。
森さん:「意思がない人は、100万円をなんとなく使って、未来がほぼ何も残んないです。一方で、私はこういう人生を生きたいんだと強い意思を持って、その意思にのっとった使い方をしてると、未来がどんどん膨らんできます」
これは、ただの家計の話ではなく、この日ずっと続いてきた「何を続けたいのか」「何に価値を置くのか」という問いの延長にありました。

まとめ 「儲ける」は、続けるための力になる
Day3の授業では、生徒たちは「売上=価格×数量」という基本から出発し、「売る」と「儲ける」の違い、固定費と変動費、損益分岐点、そして3か月で黒字化する事業計画づくりまで、一連の流れを体験しました。
単に計算を学んだのではなく、自分たちのアイデアを、続けられる形にするには何が必要かを考えた時間だったと言えます。森さんの言葉を借りれば、稼ぐことは決して悪いことではなく、良いサービスや良い社会を続けるために必要なことです。
森さん:「未来へつないでいくためには、やっぱ稼がないとだめです。稼がないと続かないから」
最後に濱は、翌日には実際にウェブサイトや広告づくりに取り組むことも伝えました。Day3で生まれたおにぎり屋の構想は、次の学びへとそのまま受け継がれていきます。アイデアを価値にし、価値を事業にし、事業を未来につなげる。その入口として、とても濃い1日になっていました。(Day4へ続く)
2026年 9月30日(水) 21時〜(オンライン)
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